コーノドリッパー「MD」、「MDN」、「MDK」を比較してみたところ、
段階的に抽出スピードが遅くなっていくことで3種それぞれに向き不向きがあり、同じコーノでも使用感は別物という印象を受けました。
前回は構造的な部分やスタンダードな淹れ方での比較でしたが、
コーノといえば点滴。ということで今回は点滴抽出での比較をしてみたいと思います。
点滴とは?
そもそも点滴とは?
湯量を極限まで絞った状態をつくり、点滴でお湯を落としていく淹れ方。
通常のドリップでは30秒~40秒ほど蒸らしをいれた後、本格的に注ぎ始めるところですが、
点滴ドリップは、まずポタポタと点滴状態でお湯を落としてきます。

この点滴状態を維持するのが非常に難しいですが、濃厚な味わいなのにゴクゴク飲めちゃうような飲みやすさがあり、うまく淹いるとネルのような口当たりも生まれる淹れ方です。
徐々に点から線へ湯量を増やしていき、

最後はドリッパー内を満水にし、
液体が落ちきる前にドリッパーを外す。

と、人によって微妙に異なる部分、個人差はありますが、大体このような抽出の流れになります。
点滴で淹れ比べ
MD型、MDN型、MDK型の基本的は違いはリブの長さ。
- MD型 → 一番長い
- MDN型 → 中間
- MDK型 → 一番短い
リブが長いほどお湯の落ちるスピードも速くなるため、3つとも同じ淹れ方をすると、MD→MDN→MDKの順に抽出時間が伸びていきます。
点滴抽出でここを揃えたいとき、抽出が遅い型ほど早めに点滴から注ぎの工程に移る必要があり、逆にいえば、難しい点滴の工程を早めに切り上げることができる。
MDは上級者向け、MDKは初心者向けという話をよく耳にしますが、この辺りが難易度の違いに現れるような気がします。
まずはMD型。
半分近くまであるリブのおかげか、満水状態からのお湯の抜けがとてもスムーズ。


味わいは、普通にドリップするよりもしっかりめでやや苦みも強め。
それでいて、後味はクドくなくむしろ透明感があって飲みやすいくらい。
(ちなみに豆は中深煎りを使っています)
これが点滴の正解の味なのかはわかりませんが、3種の中では私はこの味が一番好きです。
次にMDN型。
点滴時の落ち方はMD型とさほど変わらず、注ぎに移ってからも前半はあまり変化なし。
後半はややお湯が滞り気味になり、満水状態からの抜けはMD型より少しゆっくりな感じ。

MD型と同じように注いだ場合、30~40秒ほど遅めの抽出になりました。
やや苦みの効いたバランスの良い味わいですが、MD型よりややクリアさが足りない気がします。
最後にMDK型。
こちらも点滴時は前2種と変わりませんが、中~後半にかけての抜けが明らかに遅く、
特に満水状態からの抜けが非常にゆっくり。

MD型と同じように注いだ場合、1分ほど遅めの抽出になりました。
時間がかかった割にクリアさは感じられますが、通常のドリップに近い味になりました。
それぞれの特徴と違い
MD型の特徴
- 満水時からの抜けがスムーズ
- 点滴時間が長く、難しい
- 後半の調整が効きやすい
- 濃厚かつクリアな味わい
MDN型の特徴
- MDよりやや抜けが遅い
- 透明感は減るが飲みやすい味
- 使用感、味わいはMDKよりMDに近い
MDK型の特徴
- 満水からの抜けが非常に遅い
- 点滴を簡略化できる
- 後半は調整が効きにくい
- ドリップに近い味わい
淹れ比べてみて違いを感じたポイントは、抽出後半のスピード感。
注ぎ方がゆっくりな前半はあまり違いが見られず、点滴のやり易さなどはどれも一緒。
ですが、後半にかけてのお湯の抜け具合、特に満水時の抜け方はハッキリ違いを感じました。
MDはスムーズ、MDNはそれよりやや遅いくらい、MDKはとてもゆっくり。
なので、同じような味わいに仕上げたい場合、点滴 → 細く注ぐ → 一気に注ぐのタイミングが重要な気がします。
MDは前半にじっくり濃厚な抽出を行っても後半はサッと落せるので、濃厚かつクリアな点滴でしか出せない味わい、
MDKは点滴を素早く切り上げて全体を通してゆっくり抽出を行うので、点滴が楽な分前後半の差がなくなり通常のドリップに近い仕上がりになるように感じました。
MDNは中間ですが、どちらかというとMDKよりMDに近い使用感。
点滴らしい濃厚さ、クリアさを残しつつも、点滴自体はMDほどシビアじゃないので割と万人向けな気がします。
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