コーヒー豆が採れる「コーヒーノキ」は約125種も存在していますが、その中でも「コーヒー豆を採る」ために栽培されているのはアラビカ種とロブスタ種という2種がほとんどを占めています。
この2つがコーヒーの2大種といわれており、これらが突然変異や品種改良されて様々な『コーヒーの品種』が生まれています。
普段飲んでいるコーヒーのほとんどがこのアラビカ種とロブスタ種ということもあり、この2つの品種について詳しく解説したいと思います。
アラビカ種
飲用として用いられた最初のコーヒーの品種です。
元々、エチオピア高原の南西部の標高1300m~2000mの地域に自生していた「コーヒーの原種」を起源にして様々な国に持ち込まれて栽培されています。
世界のコーヒー生産量の6~7割を占めており、普段飲んでいるコーヒーはほとんどアラビカ種のコーヒー豆で作られています。
アラビカ種は標高1000m~2000mの気温が低めの土地が栽培に適しています。
風味や味わいに優れていますが害虫に病気に弱いという特徴があり、生産国ごとに品種改良や突然変異を経て、様々なアラビカ種が誕生しています。
ロブスタ種
正式名称は「カネフォーラ種」という名前ですが、一般的には「頑強な」「粗野な」という意味のロブスタという名前で言われています。
その名の通り、アラビカ種よりも病気に強いというメリットがあり、大量生産が可能です。
標高250m~1500mとの多雨な環境が栽培に適しており、コーヒーとしては比較的低地での栽培が可能です。
主にインドネシア、ベトナム、インド、ブラジルなどで栽培されており、コーヒー全体の3割~4割を占めています。
しかし、アラビカ種よりも生豆に含まれているショ糖や油脂分が少ないため、酸味が少ないです。(酸味が多いと深く煎っても特徴が残る)
加えて、ロブスタ臭という独特の臭みがあるので、香りの面でも大きく劣ります。
そのため、アラビカ種に少量ブレンドして使われることが多く、アラビカ種よりも安価なため、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどでコスト削減に使われたり、苦みの元になるクロロゲン酸やカフェインが多く含まれているため、苦みやコクを強調したりするのに使われています。
アラビカ種の種類
ティピカ
エチオピアに自生していた「アラビカ種の原うべき最古の品種で、その他のアラビカ種はティピカ種から派生しています。
このティピカ種が各国に持ち込まれて、品種改良や突然変異を起こして様々な品種が誕生しています
非常に優れた味わいで、上品な酸味が特徴です。
しかし、害虫や病気に非常に弱く生産性が低いのが難点です。
ブルボン(レッドブルボン)
ティピカ種がブルボン島(現レユニオン島)に移植された際に突然変異し、これがブルボン種の起源といわれています。
甘みとコクが特徴で、1年置きに実をつける隔年結実のため、その年によって生産量が大きく変化し、
収穫量はティピカ種よりは多いですが、他の品種より少ないです。
イエローブルボン
レッドブルボンから派生した品種で、レッドブルボンとアマレロ・デ・ボツカツの自然交配から生まれた品種です。
コーヒーチェリーが黄色い実をつけるのが特徴で、レッドブルボンよりも甘みが強いです。
アルーシャ
ティピカの突然変異種で、元々はタンザニアのアルーシャ地区で栽培されていましたが、現在はパプアニューギニアで栽培されています。
ケント
インドで生まれたティピカの突然変異種です。
病気に強く、生産性が高いのが特徴です。
コーヒー栽培の天敵である「さび病」に強く、現在はケニアで多く栽培されています。
ジャバニカ
ニカラグアで栽培されている品種です。
インドネシアのジャワ島で栽培されていたティピカ種が持ち込まれたもので
生豆が細長い形をしており、ラズベリーのような風味があります。
モカ
「ブルボン島が起源のブルボンの変異種」という説や、「イエメンが起源の別の品種」など諸説あります。
樹や葉、生豆に至るまで全体的に小さく、生豆は丸みを帯びており、さび病に弱く、管理が難しいため希少な品種です。
カフェインの量が他のコーヒーよりも少なく、爽やかな酸味や香りが特徴の高品質なコーヒーで、ブラジルの一部やマウイ島で栽培されています。
スマトラ
インドネシアに持ち込まれたティピカ種が変異した品種で、大粒で生産性が高いのが特徴です。
マンデリンがその代表で、力強い余韻のある苦みがあります。
ムンドノーボ
ブラジルで発見されたスマトラとブルボンの自然交配で誕生した品種です。
コーヒーチェリーの完熟の時期にバラツキが無いため、一気に収穫することが可能という特徴があります。
標高1000m~1500mとコーヒーとしては比較的低い土地での栽培に適しており、病気に強く、育ちやすいため生産性が高いです
スクリーンサイズは17くらいのものが多く、主にブラジルで広く栽培されています。
カツーラ
ブラジルで発見されたブルボンの変異種で、病気や害虫、低温にも耐性があり、ティピカの3倍近い生産性を誇ります。
良質な酸味が特徴ですが、若干の渋みもあります。
標高500m~1700mでの栽培に適しており、隔年結実です。
スクリーンサイズは平均で16ぐらいで、主にコロンビアで栽培されています。
カツアイ
ムンドノーボとカツーラを交配させて出来た品種で、非常に高い生産性を誇ります。
スクリーンサイズは平均で16ぐらい、味わいはブルボン種に似ていて、主にブラジルで栽培されています。
赤い実の物をレッドカツアイ、黄色い実の物をイエローカツアイと呼びます。
マラゴジッペ
ブラジルで発見されたティピカの変異種です
標高600m~760mの低地での栽培に適していますが、生産性はあまり高くありません。
豆は大粒でさっぱりとした味わいと、デリケートな風味が特徴です。
パーカス
エルサルバドルで発見されたブルボンの変異種です。
低地での栽培に適しており、干ばつに強く砂の多い土壌でも育つため生産性は高いです。
エルサルバドルやホンジュラスで栽培されています。
パカマラ
エルサルバドルで発見されたパーカスとマラゴジッペの交配種です
標高900m~1500mでの栽培に適しており、栽培量はあまり多くありません。
軽い酸味と甘みが特徴で、エルサルバドル、ホンジュラス、グァテマラ、ニカラグアなどで栽培されています。
ゲイシャ
エチオピアが起源の非常に珍しい野生種で、「ゲシャ」という町の近くで発見されたためその名前が付けられたそうです。
パナマ・エスメラルダ農園のものが注目され一躍有名になりました。
生豆は細長い形をしており、仄かな花の香り、柑橘系の風味が特徴の非常に高品質な品種です。
パナマやマラウィで栽培されていましたが、最近ではコロンビア、コスタリカ、グァテマラなどで栽培が盛んになってきました。
SL28
タンザニアのキリマンジャロ付近のブルボン種から選抜されたものを、「耐乾品種」として研究開発されて生まれた高級品種です
SLは研究を行っていたスコットラボラトリーの頭文字で、
28は型番で、「生産性が高い」「干ばつに強い」「高地での栽培に適している」という特徴があります。
主にケニアで栽培されていて、カシスのような酸味やスパイシーな香り、重厚感が特徴です。
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