コク深く、
昔ながらの喫茶店にあるような、
深煎りのコーヒーが淹れたい。
そんな方達に定評のあるコーノドリッパー。
抽出のキモとなるリブはドリッパー下部のみのため、上部はペーパーが張り付き、抽出はゆっくり。
スピードと引き換えに表面の泡(雑味やエグみなど)を横漏れさせず、クリアなコーヒーが淹れられるのが特徴です。
そんなコーノドリッパーですが、使用するペーパは純正ペーパーを推奨しています。
円錐型ペーパーであれば、どのペーパーとも基本的に互換性があるわけですが、
実際、純正とそれ以外では抽出にどんな違いがあるのか?
色々なペーパーを使って比較してみました。
MD-25(KONO)
まずは純正のコーノ「MD-25」
ペーパー素材にはバージンパルプが使用され、抽出速度にかかわるクレープは両面加工。
両面クレープはCAFECのアバカが有名ですが、実はこのペーパーも両面なんです。
両面クレープの特徴は何といっても抽出速度の速さです。
使ってみると、やはり両面クレープが効いていてスピード感は中々速め。

そして、専用ペーパーというだけあってドリッパーにピッタリ張り付きます。

抽出にかかった時間は1分42秒。
コーノのドリッパーの特徴をしっかり活かせたらしく、味の方はクリアな苦味とまろやかさがあって、結構好きな味です。
お湯がペーパーに浸透することでピッタリ張り付くので、スタート時から張り付かせたい方は事前リンスがおすすめです。
今回は普通に淹れましたが”点滴”という方法だとまた違った味わいとなり、より苦味が強調されてどっしりめになります。
V60ペーパーフィルター(HARIO)
続いてハリオのV60用のペーパーフィルター。
こちらも素材はパルプですがクレープは片面のみ。
ペーパー内面はツルツルしていて、外面もMD-25より凹凸が緩やかな感じ。
全体的に質感が硬めで、お湯が浸透しにくそうな印象です。
淹れてみると、MD-25に比べて明らかに落ち方が遅い。

ドリッパーとはMD-25よりやや隙間があるかなという程度で、ほぼ同じような張り付き具合。

抽出時間は1分56秒。10秒ほど遅く淹れ終わりました。
V60ドリッパーが抽出速めなのでペーパーも速いのかなと思っていましたが、ちょっと以外な結果でした。
(逆にペーパー側でバランスを取っているのかも)
飲んでみると、軽めでスッキリ感があり、非常に飲みやすい味わいです。
アバカフィルター(CAFEC)
最後はCAFECのアバカフィルター。
こちらはMD-25と同じ両面クレープ加工ですが、素材にアバカが使われている点で異なります。
高速抽出が得意なペーパーだけあり3種の中で最も落ちるのが速く、1分38秒で淹れ終わりました。

そして、他2種と違ってドリッパーへはあまり張り付かず、終始やや浮いている状態でした。

味わいは両者の中間くらい。
どちらかというとMD-25に近くまろやかな感じですが、こちらの方がややスッキリめな印象です。
比較結果と考察
コーノドリッパーは表面に浮いているアクを脇漏れさせないというコンセプトなため、これを活かすにはペーパー側をしっかり張りつかせる必要があります。
今回の比較では「MD-25」と「V60ペーパーフィルター」の2種が張り付き、「アバカフィルター」はやや浮いた状態でした。
抽出スピードはアバカ→MD-25→V60の順に速く、アバカとMD-25は僅差でしたがV60は少し遅めな感じ。
味わいは、
- V60はスッキリめ
- MD-25とアバカはまろやか
でMD-25とアバカではアバカの方がやや軽めな印象です。
ということで、アバカではドリッパーのコンセプトを発揮できず、V60では抽出速度を維持できないというのが私の結論。
味わいの面でもMD-25が一番バランスが取れており、さすが純正強しという感じです。
これまでは「ペーパーはアバカ一択!」と思って使ってきましたが、ドリッパー次第なのかと身にしみた結果となりました…
抽出において単純なスピードだけでなく、”ドリッパーペーパーの組み合わせ”が視野に入り、また新たな発見となりました。
(やっぱりコーヒーは奥が深い)
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