これからコーヒーを始めたいという方に、まず手に入れてほしいと思うのが、コーヒーミル。
理由は、”挽きたて”のコーヒーが楽しめるから。
コーヒーを淹れる直前に豆を挽くことで、
- 豆の鮮度を維持出来る
- 粉がよく膨らむ
- より香りを感じられる
- 嫌な酸っぱさが出にくい
といようなメリットがあり、美味しいコーヒーを淹れるコツの一つ。
今回はそんな、『コーヒーミルの選び方』について解説したいと思います。
コーヒーミルは、なぜ必要?
コーヒーミルは、コーヒー豆を細かく砕いて粉にするための器具。
用途でいうと、ただこれだけ。
でも、「コーヒー器具の中で、いちばん重要なのはどれか?」と聞かれると、私はミルだと思う。
では、なぜ必要なのかというと、
- 豆のままだと、うまく抽出が出来ない
- 豆の方が、鮮度や美味しさが長持ちする
というのが、大きな理由。
コーヒー豆は、そのままお湯をかけてもうまく抽出されないので、粉にして抽出効率を上げる必要がある。
ドリッパーやドリップポットが味の方向性を決めるとしたら、コーヒーミルは味の総量を決めるようなもの。
「最初から粉の状態で買えば、いらないんじゃないの?」と思うかもしれないけれど、豆と粉では美味しさが劣化するスピードがまるで違う。
いいドリッパーやドリップポットを使って、粉で買ったコーヒーを淹れるより、やかんで挽きたてのコーヒーを淹れるほうが、美味しいんじゃないかとさえ思う。
豆のままだと、数週間維持出来る「香り」や「コーヒーガス(お湯をかけてモコモコ膨らむアレ)」が、粉にすると一気に拡散され、数十分で大きく消失してしまう。
また、淹れたコーヒーが嫌に酸っぱいということにも関係してくる。
詳しくはこちらで解説
なので、”自宅で淹れる直前に挽く”というだけで、出来上がりの美味しさが何倍も変わってくる。
選び方のポイント
コーヒーミルを選ぶポイントはいくつかあるけど、いちばん重要なのが粉にしたときの均一さ。
揃っているほど淹れたときの味のブレが少なく、バラバラだと「何か毎回味が違うな…」ということに。
その中でも、一際細かい「微粉」という粉は、雑味の原因にもなる。
ゼロにするのは難しいけれど、少ないほどクリアなコーヒーに仕上がる。
また、挽くときに熱が発生すると、香りが飛びやすいともいわれていて、刃が高速回転する電動ミルを選ぶときは、見るべきポイント。
個人的には、挽目の均一さ > 微粉の量 > 熱の発生 の順に重要に思う。
粉砕方法
コーヒーミルの粉砕方法は、主に3つ。
プロペラ式
プロペラ式は、カッターのような刃がプロペラのように回転することで、豆を細かくする方法。
一番のメリットは、価格が安いこと。
なので、「まずは、ミルがどんなものか試してみたい」というときにいい。
ただし、挽目の調整がほぼ不可能なので、ミルとしての性能はあまり良くない。
粉のバラツキが目立ち、熱も持ちやすい。
主に、電動ミルに使われることが多い粉砕方法。
臼式
臼式は、外刃の内側で臼のような内刃が回転することで、すり潰すように豆を砕く方法。
刃と刃の間隔を変えることで、粒度の調整が出来る。
このタイプは価格によって性能にかなり差があり、価格が上がるほど粒度が安定し、微粉も少ない。
手動、電動両方に使われる方法で、手動であればゆっくり挽くことで熱の発生を抑えられる。
カット式
カット式は、凹凸のついた刃同士が向き合って回転し、豆を砕く方法。
こちらも、刃の間隔を変えることで、挽目の調整が可能。
臼式と違って、すり潰すわけではないので、微粉などは少なめ。
高価な電動ミルに使われることが多く、価格が高いのが難点。
それぞれのメリット・デメリットをまとめると、こんな感じ。
メリット | デメリット | |
プロペラ式 | ・価格が安い | ・挽目調整が出来ない ・熱が発生しやすい |
臼式 | ・高価なものだと粒度が安定し、微粉も少ない ・手動だと、熱を抑えられる | ・安価なものだと、微粉が出やすい |
カット式 | ・比較的、粒度が安定する ・微粉は少なめ | ・価格が高い |
刃の材質
セラミック
セラミック製の刃は、臼式やカット式に多く採用されている。
サビることがなく、水洗い出来るので衛生的。
オーソドックスな素材で、切れ味はそこそこ。
長く使うと刃こぼれしやすいという問題はあるけど、価格が安く、手に入れやすい。
ステンレス
ステンレス製の刃は、主にプロペラ式や高性能な手動ミルに使われている。
ステンレス刃の特徴は、何といってもその切れ味。
セラミックとは別格なほど、サクサク豆をカットする。
金属なので水洗いは基本NG。価格は高め。
挽目調整
豆の挽目を変えると、コーヒーの味も変わる。
なので、ほとんどのミルは挽目の調整が出来るようになっている。
挽目調整で見るべきポイントは、調整のしやすさと幅。
ダイヤルを回すだけのものもあれば、内側のネジを回さないといけないものもある。
「これだ!」という挽目から動かさないなら問題ないけど、基本的には粗~細挽きまで挽目の幅が広く、簡単に調整出来るものがおすすめ。
手動か?電動か?
手動か電動かは、多くの方が悩むポイントだと思うけど、「ミルに何を求めるか?」で選び方が変わってくる。
手動ミルの特徴
手動ミルは、手でハンドルを回しながら豆を挽くタイプのミル。
ゆっくり挽くことで微粉や熱の発生を抑えられるメリットがあり、電源がいらないので、出先で使いたいときやアウトドアとも相性がいい。
また、モーターがない分、価格あたりの性能は電動よりも高いことが多く、ハイエンドのものになると、電動を上回ることも。
ただし、手で挽くので大量挽きには向かず、浅煎りのような硬い豆は挽きづらいこともある。
「1~2杯がメイン」「安くていいミルがほしい」または「ハイエンド性能のミルがほしい」という方は、手動ミルがおすすめ。
【手動ミルの特徴】
- 1~2杯用に最適
- 微粉や熱を抑えられる
- アウトドアと相性がいい
- 大量挽きには向かない
- 硬い豆だと挽きづらい
ただ、コーヒーを長くやっていると「電動で楽したいな…」という瞬間がやってくる。(コーヒーあるある)
なので、「初めから電動にしてみるのもアリかな…」と最近感じる。
電動ミルの特徴
電動ミルの特徴は、手軽に大量の豆を挽くことが出来ること。
操作はボタン一つなので、手が疲れず時短にもなる。
挽目調整もダイヤルのような扱いやすいタイプが多く、”豆を挽く”という動作がとても快適なのが、最大のメリット。
デメリットは、価格あたりの性能は手動に劣る点。
手動と同程度の性能を求めると、どうしても価格が高くなってしまう。
また、高速で刃が回転するので、熱が発生しやすい。
「1日に何杯もコーヒーを飲む」「楽に豆を挽きたい」「素早く豆を挽きたい」という方は、電動ミルがおすすめ。
【電動ミルの特徴】
- 一度に大量の豆を挽ける
- いつでも手軽に使える
- 操作が簡単
- 素早く挽ける
- 価格が高め
手入れのしやすさ
長く使うことを考えると、手入れのしやすさも大事。
丸洗いが可能なら衛生的に使えるし、パーツが少ないと、分解・組み立てもしやすい。
他の要素よりかは重要度は低めだけど、確認しておくのがいいと思う。
価格の違い
手動電動に限らず、価格に比例してミルの性能も上がっていく。
手動であれば、5,000円~10,000円くらいのものが、粉にしたときの均一さや挽きやすさとのバランスがよくおすすめ。
電動であれば、20,000円~40,000円くらいがおすすめの価格帯。
これより安いモデルであっても無いよりは何倍もいいので、まずは低価格モデルから試してみるというのも一つの手。
選び方とおすすめな人
コーヒーミルの性能は、
- 挽いたときの均一さ
- 微粉の少なさ
- 熱の発生しにくさ
で決まる。
その上で、選び方のポイントになるのは、
- 粉砕方法
- 価格重視なら、プロペラ式
- 性能重視なら、臼式かカット式
- 刃の材質
- 手入れのしやすさならセラミック
- 切れ味を求めるならステンレス
- 挽目調整
- 調整が簡単で幅の広いものがおすすめ
- 手入れのしやすさ
- 長く使うなら、見ておくことをおすすめ
- 価格
- 手動は5,000円~10,000円
- 電動は20,000円~40,000円くらいがおすすめモデル
- 「手動ミル」がおすすめな方
- 挽く作業が億劫でない
- 1~2杯淹れがメイン
- アウトドアに使いたい
- コスパのいいミルがほしい
- ハイエンド性能のミルがほしい
- 「電動ミル」がおすすめな方
- 挽く作業が面倒
- 一度に大量に挽く
- 1日に何度もコーヒーを淹れる
- 手軽さ、時短重視
- 浅煎り豆をよく使う
というところ。
挽いた粉が均一なほど、淹れたときの味のブレや、雑味のない輪郭がハッキリしたコーヒーになる。
なので、いかに均一に豆を挽けるかが”性能のいいミル”ということになるけど、その人のコーヒースタイルでも選び方は変わってくる。
「美味しさ」や「挽く楽しさ」を追求したいなら手動の方がコスパがよく、「手軽さ」や「快適さ」を求めるなら電動がおすすめ。
すべて兼ね備えたミルはすばらしいけど、中々出会えないし価格も高くなるので、「これだ!」という優先ポイントを決めて、予算まで引き算していくと、自分のスタイルに合ったものが選べます。
良ければ参考にどうぞ。
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