コーヒーを淹れるときの”蒸らし”は、抽出を安定に役立つ工程。
抽出時間も伸びるので、豆全体からしっかりと味を引き出してくれる。
では、具体的にどう味が変わるのか?
蒸らしの有無で飲み比べて、味の検証をしてみようと思います。
比較前の予想
コーヒー成分の移動速度は、粉の表面からお湯へは速く、粉の中心から表面へは遅いという特徴がある。
なので、表面は過抽出に中心は未抽出になりやすい。
過抽出になると、雑味やエグミなどのあまり美味しくない”出がらし部分”が出てきてしまい、未抽出だと味の薄いコーヒーに。
蒸らし無しの場合、表面付近の成分が溶けきってから中心の成分が溶け出してくるまでの間、表面は過抽出の状態になってるんじゃないかと思う。
抽出時間もカットされるので、中心は未抽出のまま終了という感じで、「雑味が多めだけど、何だか味の薄いコーヒー」になるというのが私の予想。
蒸らしを取り入れることで、表面の成分をある程度お湯に溶け出させ、中心の成分をあらかじめ表面に移すことで、均等な抽出につながる気がする。
蒸らしが数十秒なのは、中心から表面への移動が遅いので、数秒ではあまり意味がないからかもしれない。
淹れ比べてみる
「蒸らし有り」と「蒸らし無し」で淹れて、飲み比べ。
抽出の条件は、
- 豆量 10g
- 抽出量 150ml
- お湯の温度 90℃
- 挽目 中挽き
蒸らし有りの蒸らし時間は30秒。
どちらも1湯で最後まで注ぎ続ける淹れ方で、淹れてみようと思います。
蒸らし無し
まずは、蒸らし無しから。
お湯を注ぐと表面部分のみがよく膨らみ、底までお湯が浸透するのに少し時間がかかった。
底まで行き渡った後のお湯の抜けはよく、抽出にかかった時間は、1分35秒でした。
味はやや薄めで、特に酸味を強く感じる。
雑味などはあるにはあるが思ったよりも感じられず、酸味で相殺されているのかスッキリ飲める。
薄味だけど、そんなにまずいコーヒーではない。
蒸らし有り
続いて蒸らし有り。
こちらはお湯を少量かけ、30秒放置。
粉は徐々に膨らんでいき、一旦止まってジワジワと全体に浸透していってるのがわかる。
粉が膨らみ切ってからお湯を注いでいるので表面には溜まらず、注いだところをお湯がスッと通る感覚。
抽出にかかった時間は、2分01秒。
蒸らした時間分がそのまま伸びたかたちになった。
蒸らし無しよりも味は濃く、酸味だけでなく程よく苦味もある。
濃度や酸味、苦味などの味のバランスが丁度良く、普段の美味しいコーヒー。
飲み比べた感想
味の違いは濃度が一番明確で、蒸らし有りの方が濃く、蒸らし無しは薄い。
蒸らし有りは抽出時間をかけられたので、酸味と苦味のバランスもいい。
蒸らし無しだと、細く注いでも2分以上かけるのが難しく、どうしても酸味主体のスッキリめの味になりがち。
エグミのようなものも少しあったので過抽出気味なのかなとも思うけど、酸味で相殺されていて、そんなに気にはならなかった。
使う豆によっては、蒸らし無しでも美味しく淹れられそう。
今回は注ぎ続ける淹れ方をしたので、このような結果になったけど、
- 何湯かに分けてゆっくり抽出する
- 豆を少し多めに使う
などで、蒸らし無しでも味の調整は可能なのかなと思う。
「浅煎りの豆を抽出速度の遅めなドリッパーで淹れる」とかなら、蒸らし無しの方がいいかも。
ただ、蒸らすことで手軽に抽出時間を伸ばせ、抽出も安定するので、必須では無いけど、難しい調整をせずとも美味しいコーヒーを淹れられるというのが、私の感想です。
コメント