以前はコーヒー豆を選ぶ時、一つ疑問があった。
「何で同じ豆なのに、種類が複数あるんだろう?」
理由は、精製方法の違いだった。
コーヒーの精製方法は、主に『ナチュラル』と『ウォッシュド』の2つに分類される。
最も大きな違いは、工程の中で水を使うかどうか?
「本当に同じ豆!?」ってくらい、ガラリと味が変わる。
コーヒー豆の精製
コーヒー豆は、コーヒーチェリーという果実の”種子”にあたる部分。
なので、豆というより種。
コーヒーチェリーは外側から、外皮→果肉→ミュシレージ→パーチメント→種子 というような構造になっていて、精製するには、ここから種子だけを取り除く必要がある。
でも、収穫直後は生豆自体も柔らかく、特に「ミュシレージ」はヌルヌルしていて、取り除きにくい。
なので、ある程度乾燥させてから、生豆のみを取り出すことになる。
ここまでの「果実から種子を取り出す過程」に水を使うかどうかで、『ナチュラル』と『ウォッシュド』の2つに分類される。
ナチュラル
ナチュラルは、水を使わずに生豆を精製する方法。
収穫したチェリーは、そのまま天日干しにして完全に乾燥させる。
そうすると、生豆を覆っているものが一枚の殻になるので、それを割ることで生豆を取り出すという方法。
コーヒー全体としては、ウォッシュドよりも数は少なめ。
ウォッシュドよりも古くから用いられていて、水の少ない地域で主流な精製方法。
ブラジル、エチオピア、イエメンなど。
特徴
水を使わないので、水の少ない地域でも利用でき、経済的。
その分、ウォッシュドよりも乾燥時間が長くなるので、傷みやすいという難点もある。
果肉だけを削ぎ落として乾燥させる、パルプドナチュラルという方法もある。
味わい
ナチュラルで精製された豆は、芳醇な香りと強い個性の独特な風味のコーヒーになる。
この”独特の風味”が、人によって好みが分かれるところで、ハマる人にはハマるけど苦手な人もいる。
私の場合は「たまに飲みたくなるけど、毎日はいいかな…」という感じ。
甘みも、こっちのほうが強く感じられる。
まだ試したことがない人は、ぜひ一度味わって欲しい!
ウォッシュド
ウォッシュドは、水を使って精製する方法。
まず、チェリーを「パルパー」という機械に通して外皮と果肉を取り除き、水で洗う。
それでもすべてを洗い流すことは出来ないので、水槽に一晩ほど漬けておく。
すると、残った部分は自然発酵で分解されるので、再度水で洗い乾燥させる。
その状態で保管しておき、脱穀は輸出前に行うことが多いよう。
水資源が豊富な、コロンビア、タンザニア、パプアニューギニアなど。
特徴
工程が多く、水を大量に使うという難点はあるけど、工程の中で未熟豆や過熟豆を取り除けるという利点もある。
ちなみに、乾燥前に脱穀する『スマトラ式』という方法もあって、乾燥時間を短縮できるメリットがある。
インドネシア(マンデリン)で、多く用いられているやり方。
乾燥時間が大幅に短縮できる一方、形が歪になったり、豆色が深緑色になるなどの変化がある。
独特の苦味のある豆に仕上がるので、深煎り好きにファンも多い。
味わい
コーヒー全体としては、ウォッシュドのほうが主流で、クリーンな味わいで飲みやすいのが特徴。
クセの少ない仕上がりになるので、万人向けの味。
セミウォッシュド(ハニー製法)
ウォッシュドから派生した精製方法。
水槽に漬けるまではウォッシュドと一緒で、その後洗い流さず乾燥させるというようなやり方。
どこまでミュレージを落とすか(ナチュラル感を残すか)で仕上がりを調整することができる。
水を使うのでウォッシュドに分類させるけど、ナチュラルの風味も感じられる独特のコーヒーになる。
「ウォッシュドだとなんだか物足りないけど、ナチュラルは少し飲みづらい」「少しアクセントのあるコーヒーが飲みたい」っていう時なんかにおすすめ。
ウォッシュドよりも甘みも強い感じがして、一度試してみると選択の幅が広がった。
同じ豆でも『精製方法』で全く味が変わる
同じ豆でも精製方法が違うと、出来上がったコーヒーは全然違う味になる。
例えば、エチオピアのコーヒー。
ナチュラルとウォッシュドで全然違って、本当にビックリした。
ナチュラルを飲んでみて「この豆はなんだか飲みづらくて苦手だな…」という時でも、ウォッシュドを試してみると、意外と美味しかったって人、結構いると思う。
そうゆうのは、なんだか勿体ないので、機会があればぜひ試してみて欲しい!
「初めて豆を選ぶから、どっちがいいかわからない!」という人は、ウォッシュドから試してみるのがいいと思う。
クセが少ないので、飲みやすいものが多くおすすめ。
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